感謝の気持ちがあると幸福感が増し、自分の存在意義をより深く実感させてくれる。ありがとうの訪問はこんなふうにやってみるといい。
まず、これまで、親切に、あるいは寛大に接してもらったのに、きちんと感謝の気持ちを伝えたことがない人物を思い浮かべる。その人宛てに、なぜ感謝しているのかを具体的な言葉で説明した「感謝の手紙」を書く。
それからその人を訪ね、手紙を声に出して読む。セリグマン(世界でひとつだけの幸せの著者)によると、このやり方はとても大きな効果を発揮するという。
「『感謝の訪問』をするときは、みんな泣きますね。感謝するほうにとってもされるほうにとっても、感動的なことなのです。」
感謝は個人の幸福にとってのキーとなる要素であることがわかる。過去の特定の物事に対して感謝した経験のある人は、苦々しい失望ではなく、甘美な勝利感とともに暮らすことができるので、現状に、より満足している傾向がある。(中略)
感謝の訪問を試してみる理由の一つは、それが相手にも同じ思いを伝えるはずみになるからである。たいていの場合、感謝の気持ちを伝えらた人は、自分が人生のなかで感謝をつたえたことのない相手について考え始める。そして、自分でも「感謝の訪問」をすることになる。
こうして新たに感謝された人も同じ気持ちになり、結局、感謝と満足の和が広がっていくのだ。
ハイコンセプト Daniel H.Pink 大前研一 訳